


はじめに。
今回は、中古住宅の売却の話です。
昨年9月、隣の市の中古住宅について相談のお電話をいただきました。
そこで日時を決めて、現地へ伺いました。
実は、お電話でお話しするのも初めてのお客様でした。
市の空き家バンク担当の方から、当社を紹介されたそうです。
その流れで、電話をくださったとのことでした。
お客様は都内在住の方でした。
当日、お客様は早朝から現地に来ていました。
庭の雑草の草刈りをされていたそうです。
額に汗をかいている様子が印象的でした。
一通り、建物の内外を見させていただきました。
あわせて、最近の周辺取引価格もご説明しました。
そして、幅を持たせた価格帯を提案しました。
大手ハウスメーカー施工の注文住宅でした。
そのため、おおよそ半年を目途に売却できると考えました。
その前提で、売却価格をご提案したのです。
ところが、反応が少し鈍く感じました。
満足できなかったのかもしれません。
「知り合いに不動産屋がいる」などのお話も出ました。
そのあたりから、トーンが低くなった気がしました。
当社としては、専任媒介にこだわりません。
一般媒介でも結構ですよ、とお伝えしました。
都内の不動産会社から、高い提案を受けていたのかもしれません。
地元業者の値付けを知りたかった可能性もあります。
後日、販売図面を見て驚きました。
不動産に定価はありません。
販売価格の設定自体は、もちろん自由です。
しかし、レインズで確認すると衝撃でした。
当社の提案より、約700万円高い価格だったのです。
もし売れれば、お客様は「その会社で良かった」となります。
ただ、現実はそう甘くありません。
築30年超の木造住宅でした。
特にリフォームも施していない物件です。
その価格なら、周辺の新築建売が買える水準です。
当然、売れません。
ときどき都内の不動産会社から電話をいただきます。
土地や戸建ての値付け相談や、相場確認の依頼です。
そういう会社は、適正価格を意識しているのだと感じます。
しかし、今回のケースは違いました。
なぜこの価格を提案したのか、正直わかりません。
想像ですが、媒介契約獲得が目的だったのでしょう。
すでに9カ月が経っています。
その間、価格ダウンを繰り返している状況です。
そして現在の販売価格は、私が提案した価格帯まで下がりました。
現場に立ち会ったわけではありません。
ただ、お客様との会話は想像がつきます。
値下げ。しばらくして、また値下げ。
そして、さらに値下げ。
このやり方は、最もやってはいけない売却手法です。
おそらく、また一段の値下げ提案が来ると思います。
適正価格で打ち出しておけば、ここまでの値下げは起きにくいです。
多少の指値が入っても、700万円の値下げは現実的ではありません。
あのまま当社にお預けいただければ、と想像します。
おそらく、すでに新しい所有者が入居していたと思います。
他社が媒介中のお客様に、当社から直接連絡はできません。
それが不動産業界のモラルです。
仮に購入者が現れても、満足感は薄いかもしれません。
ただ、媒介期限が切れて冷静になった時。
その時に当社を思い出していただければ、適切に助言できます。
なお、所在地や物件は特定されないように書いたつもりです。
同業者の方なら、ピンと来る方もいるかもしれません。
ですが、公表などはしないようお願いします。