マイホームを購入すると、住宅ローンの支払いが始まる一方で、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」という税金の優遇を受けられます。ただ、初年度は確定申告、2年目以降は年末調整……と聞くと少し複雑に感じますよね。この記事では、初めての住宅ローン控除を受ける方に向けて、仕組みと手続きをやさしく整理しました。
1. 住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人が、年末のローン残高に応じて所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。
たとえば年末のローン残高が3,000万円、控除率が0.7%であれば、最大で 21万円 の所得税が還付される計算になります。家を買う人にとって、もっとも大きな税優遇制度のひとつです。
この制度の目的は、住宅取得を支援し、家計の負担を軽くすること。対象期間は原則13年間(令和4年度税制改正後)です。
2. 初年度は「確定申告」が必要
住宅ローン控除を受けるには、最初の1年目だけ確定申告が必要です。会社員でも自営業でも、この初年度だけは税務署への申告が必須になります。
必要な書類(主なもの)
- ・住宅借入金等特別控除の計算明細書
- ・金融機関の「年末残高証明書」
- ・登記事項証明書
- ・売買契約書または請負契約書の写し
- ・源泉徴収票
- ・マイナンバーカードまたは通知カード
申告期間は例年2月16日~3月15日頃まで。郵送またはe-Tax(オンライン)で提出できます。3月に駆け込む方も多いですが、2月中に準備しておくのが安心です。
なお、初年度の申告を済ませれば、翌年からは勤務先の「年末調整」で自動的に控除が続きます。
3. 2年目以降は「年末調整」でOK
2年目以降は確定申告の必要はなく、会社の年末調整で手続きできます。勤務先に「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高証明書」を提出すればOKです。
会社に提出する書類
- ・住宅借入金等特別控除申告書(税務署から郵送される)
- ・住宅ローン残高証明書(金融機関から10月〜11月頃に届く)
申告書は初年度の確定申告後、税務署から毎年1枚ずつ13年分届きます。なくした場合は税務署で再発行可能です。
会社の年末調整で控除が反映されれば、所得税の還付は12月の給与に上乗せされるか、翌年1月に返金されます。
4. 控除額の計算方法と上限
住宅ローン控除の控除額は次の計算式で求めます。
年末のローン残高 × 控除率(0.7%)= 控除額
控除の上限額(主なケース)
| 区分 | 控除率 | 控除期間 | 借入限度額 |
|---|---|---|---|
| 一般住宅 | 0.7% | 13年 | 4,000万円 |
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 0.7% | 13年 | 5,000万円 |
控除額はあくまで「支払った所得税が上限」です。所得税から引ききれない分は、翌年の住民税から最大9万7,500円まで控除されます。
詳細は国税庁公式サイトでも確認できます。
▶ 国税庁|住宅借入金等特別控除
5. よくある誤解と注意点
- ✅ 控除対象は「居住開始日」基準:引渡し日ではなく、実際に住み始めた日が重要です。
- ✅ 親子リレーローンやペアローンは要確認:名義や借入割合によって控除額が変わります。
- ✅ 転職や育休でも控除は継続:勤務先が変わっても制度そのものは継続可能。年末調整書類の再提出を忘れずに。
- ✅ 繰上返済は慎重に:ローン残高が減ると控除額も減ります。返済タイミングはライフプランと一緒に検討しましょう。
6. Q&A|こんなときどうなる?
Q1. 夫婦共有名義の場合、どちらが控除を受ける?
持分割合に応じて、それぞれが自分の借入分について控除を受けられます。たとえば夫婦50:50のローンなら、各自が半分ずつ控除対象です。
Q2. 途中で住まなくなったら?
居住していない期間は控除対象外です。転勤など一時的な転居でも、条件によっては継続できない場合があります。
Q3. 中古住宅でも対象?
一定の耐震基準を満たしていれば中古住宅でもOKです。築年数と登記要件を確認しましょう。
7. まとめ|税金も含めた資金計画を立てよう
住宅ローン控除は、マイホーム購入者にとって非常に大きなメリットです。初年度だけ確定申告、2年目以降は年末調整という流れを押さえておけば難しくありません。
税金の仕組みを理解することは、「家を買う=生活を設計する」ことでもあります。
借入額、返済額、そして税金。どれもバランスが大切です。
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※本記事は一般的な内容をもとに作成しています。最終的な控除額や適用条件は個人の状況により異なります。最新の制度は国税庁または税務署の案内をご確認ください。





